Raffles 1887

Raffles Singapore - Singapore (town)
Legendary Libations

世界を魅了する、シンガポールスリングの物語

最初に登場したのは、ジン、レモンジュース、シュガーシロップ、クラブソーダを合わせた「ジンスリング」でした。20世紀初頭のシンガポールで、Raffles Hotelはそのジンスリングの名店として知られていました。ホテルでは、2杯分のジンにアンゴスチュラビターズを数滴加えた、ピンク色の「ジンパヒット」と呼ばれる、強めのカクテルも提供されていました。Rafflesの常連だった作家のサマセット・モームは、このピンクに染まったカクテルを特に気に入っていたそうで、複数の小説にこのカクテルを登場させています。なお、ジンパヒットには、船酔いに効くという定説があったため、海軍将校の間でも人気があったそうです。 
 
しかし、そこには大きな問題がありました。20世紀に入ったばかりの当時、公の場でお酒を飲めるのは男性に限られていたのです。女性が人前でお酒を飲めば、評判を落とすばかりか、結婚のチャンスも失われかねませんでした。そのため、男性の宿泊客はいくらでもジンスリングやパヒットを楽しめた一方で、同行の女性はフルーツジュースや紅茶などを控え目に楽しむしかありませんでした。 

Vintage Portrait: Man with Cane and Dog

1915年、Long Bar(ロングバー)のヘッドバーテンダーを務めていたのは、海南島出身のNgiam Tong Boonでした。その彼が、あるアイデアを思いついたのです。女性の頬のピンクをまとった、フルーツパンチのように見えるジンスリングを作ったらどうだろうかと。そうすれば女性たちも堂々と楽しめるのではないか? さまざまな材料を試したのち、Ngiamはついに「シンガポールスリング」として知られることになるカクテルを完成させました。

その後は、ミクソロジーの歴史が語る通りです。100年以上が経った今も、Ngiamの作品(正確には、現在のレシピは彼の作品とはやや異なるバージョンですが)は世界中のバーやレストランで愛されています。新たなRafflesホテルがオープンするたびに、その地ならではのアレンジを加えた新しい「スリング」レシピ(以下)が登場しています。 
 

Accor Hotels Sling Cocktails Recipe Collection

これまで数十年にわたり、多くの著名人に愛されてきたシンガポールスリング。なかでもジャーナリストのハンター・S・トムソンは、1971年の代表作『ラスベガスをやっつけろ』でこのカクテルに「メスカルを添えて」としたシンガポールスリングを紹介しています。このカクテルは1998年公開の映画版(ジョニー・デップ、ベニチオ・デル・トロ出演)にも登場し、シンガポールスリングのイメージを一気にクールなカクテルへと変貌させました。それに続き、ソーシャルメディアでは「ラスベガスをやっつけろ版シンガポールスリング」の作り方を紹介する投稿が相次ぎました。 
 
残念なことに、Ngiam Tong Boonはこの成功を長く味わうことなく、その年のうちに他界しました。しかし、彼は自身が遺した功績を誇りに思ったことでしょう。彼のカクテルは、今や環境意識の象徴にもなっています。Raffles Hotel Singaporeでは、環境に優しいポテトスターチ製のストローとともにスリングを提供しており、スリングのご注文25杯分ごとに、スマトラまたはカリマンタンの熱帯雨林に1本の木を植樹する取り組みを行っています。

Raffles Singapore

「シンガポールスリング」オリジナルレシピ

ジン 30ml 
チェリーリキュール 15ml 
フレッシュ パイナップルジュース 120ml 
フレッシュ ライムジュース 15ml 
コアントロー 7.5ml 
ベネディクティン DOM 7.5ml 
グレナディンシロップ 10ml 
アンゴスチュラビターズ ごく少量 
 
仕上げにパイナップルのスライスとチェリーを添えて。

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